ランダムなメモランダム

雑草のような雑念と雑考

2022-01-01から1年間の記事一覧

『86 エイティシックス』を本土防衛戦に重ねる

アニメの『86 エイティシックス』のワンクールが感動的なラストを迎えた。 人種主義により絶えず死地に送り込まれる「86」、そのスピアヘッド戦隊のリーダー は死神と呼ばれる、シンエイ・ノウゼン。 他方、国家のご都合主義に反発しつつスピアヘッド戦…

混沌とカオス

混沌 まずは、東アジアの「混沌」から。 中国古代の地理書である『山海経』の一節である「西山教」にそれが出てくる。 天山といい、金・玉多く青雄黄あり。英水ながれて西南流し、湯谷に注ぐ。神がいる、その状は黄色い嚢の如く、赤いことは丹の火のよう、六…

クレーマーから一言 現代文明のピークアウト

近ごろ、腹正しく感じることがある。自分は義憤だと信じているので、「現代文明」にありかたについて苦言を呈しておきたい。 日本も含めて世界は英米の文明プラットホームの上に築かれた社会である。 二つの柱がある。ITと経済だ。 なぜ、この両者を英米圏の…

アメリカの若者の苦境と苦悩を語るもの

なぜかアメリカで太宰治の『人間失格』が静かに浸透しているという記事を読んだのは2月上旬であった。絶望名人と識者が呼んだ太宰の心中死にいたる人生と小説がセットで受け入れられている、そんな感じのようだ。それに呼応するかのように英語版wikiには心中…

平田篤胤の神体験と山怪

国学者の平田篤胤はなにかと話題になる学者だ。戦後は狂信的なナショナリズムのイデオロギーの主張者としてやり玉にあがり、民主主義や学問の客観性と相いれない反啓蒙主義の権化としてタブー視されていた。 江戸思想の再評価の機運が昭和晩期に盛り上がりを…

日本人のお名前「吉田仮説」

NHKの番組ではないけれども、吉田という姓は学者が多いことに関してのあてどない情報をまとめてみる。 吉田の名がつく、文人学者の一覧から。 吉田秀和 音楽評論 吉田健一 英米文学者 随筆家 吉田敦彦 神話学者 吉田耕作 数学者 吉田洋一 数学者 吉田夏彦 論…

平田篤胤とその幽冥界への憧憬

数年前、ネットを震源地として「天狗にさらわれた少年」が話題彷彿した。江戸で起きた実話であり、平田篤胤という歴史教科書級の人物が主役の一人であったこともその人気の一因だろう。 『仙境異聞』や『天狗にさらわれた少年』が復刊されたり増刷されたりし…

自炊PDF 2万冊こえた日

苦節17年。とうとう2万冊のPDFに到達した。 書籍を裁断する派閥に属する自分は、『書物の破壊の歴史』に新たな一頁を追加したわけではないけれど、大いなる蕩尽・無益な破壊・ポトラッチにしこたま時間と金をつぎ込んだわけだ。 西田幾多郎はその最期の講義…

日本に流入や帰化する外国人へ反感をもつ人たちに

令和2年で290万弱ほどが日本に滞在している外国籍の人びとだそうだ。彼らの在留でもってかなり多くの産業や自営業は維持されていることだろう。 であるにも関わらず、かなり多くの日本人がそうした外国人の増加や永住に反対している。彼らの存在が治安や風紀…

「進化するSF」という観念の緩慢な死

20世紀の最後の20年くらいから小説としてのSFはそれでなくとも片隅に追いやられてきた。映画やゲームはSF的なアイデアや発想を自家薬籠中のものにして、SFネタが含まれないのような作品は数が少ないくらいだろう。 タイムトラベル、戦闘ロボットやアーマード…

怪著『神奈川県ほら吹き散歩』について

中山三太郎氏による希書にして奇書『神奈川県ほら吹き散歩』は出版前から絶版という稀覯本です。 こんな書き出しで始まります。 そもそも神奈川県の県の名称からして間違いのもとであり、相模県というのがよりふさわしい名称である。この狭いエリアに全国で2…

ふるべゆらゆら  鎮魂のわざ

物部氏が守ろうとしたものが何であったかを推測するのは難しい。ここで念頭においているのが、仏教伝来をめぐっての蘇我氏、聖徳太子らと物部守屋との戦さである。 587年の丁未の乱である。物部側の敗戦で天皇家及び豪族たちの仏教崇拝は加速する。 さて、「…

語源から考えてしまうFIRE

共働き夫婦が早期リタイヤして、その後の生活をエンジョイすることを「FIRE」というのだとか。 共働き夫婦が、早期リタイア「FIRE」を実現するために必須のこと(bizSPA!フレッシュ) - Yahoo!ニュース いうまでもないが、Fireとは、馘首。つまり、首にする…

役に立たない妄言 養老先生、おぬしもか

森嶋道夫という著名な経済学者が晩年に『なぜ日本は没落するか』を出した。エリートがいなくなってきている日本の現状(20年前?)に警鐘を鳴らしていた。 とくに日本はそれから没落していると感じるわけではない。知的エリートはたしかに減ったがそれで没落…