近代思想史を紐解くとダーウィニズムが西洋思想史に大きなインパクトをもたらしたことが、詳しく記述されている。
ダーウィンのブルドッグこと、ハックスレーがイギリス国教会のウィルバーフォース卿と論戦をしたなどというのが代表であろうか。
自然科学とキリスト教の論争や敵対というのが「伝統」として欧米圏にはあったし、今もある。
日本では、それがほとんどないか、目立たない。
とくに取り上げたいのは、「神道はダーウィニズムに反発しないのは何故か?」だ。
神道というのは代表的な日本的宗教であるし、宗教研究者からもそういう扱いを受ける。日本のナショナリズムや国粋的民族主義の柱でもあるからだ。
その理由には次のようなものがあろう。
1)原理がない。造物主による宇宙創造のような原理があれば種の発生が宗教論理に課題を突きつけることになる。
2)神道では実体概念がない。唯物とか唯心などとは無縁であるため。
3)自然と人を区別していないため。キリスト教では「人」が特別な創造物であるが、神道ではそうではないようだ。
ということで、神道原理主義者による反乱は神風連が最後だったかもしれない。
ことさら述べておきたいのは、日本型ダーウィニズムというものがこれらの神道的特徴をもつことだ。
今西進化論、木村中立説、それに大野乾の説も追加しておこく。
これらはどうも別種の視点をダーウィニズムに突きつけているようだ。その根源には原理に対する無頓着さがあると思うのだ。今西進化論は種という単位で進化が起きるし、生存競争は無視する。種を実体概念にしているのが日本的なオブスキュアさがある。
木村中立説は、これも生存競争を避けるような、和を尊ぶかのような中道路線があるとダーウィニズムの原理に歯向かう。
やはり、これらの日本型ダーウィニズムには異端的で合理主義とは異なる精神が流れているようだ。
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