毎度のことながら反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)は和歌山県のイルカ追い込み漁の伝統を根絶しようとしている。
イルカが絶滅危惧種であれば同調の余地もあるが、そうではない。自分が問題視したいのはシー・シェパードの面々が歴史的伝統というものにまったく盲目なことだ。
縄文時代からのイルカ漁の伝統を根絶しようという態度は野蛮人の野蛮な行為に対して正義の鉄槌を加えるという行為と同じ文化的な意味があろう。
歴史的に考えれば、アメリカ移民がインディアンを西に駆逐してその文化を根絶した、そのやり口と同じイデオロギーである。
何百というインディアンの言語と文化が、北アメリカから一掃された。自分らの法律や価値観に従わなければ、地表に存在することを許さない。それと同じものがSSの大胆不敵、傲岸不遜な行為を突き動かしていると見たい。
その威圧的態度にさらされている太地町の人々に深く同情したい。太地町の人々は紀伊半島の片すみで昔ながらの生活風習を守りたいだけなのだ。ひなびた町をグローバル・メディアの見据える視線は絶対君主的だ。
生物多様性を保つのと文化的多様性を保つのはおなじ原理のうえにあるのだと思う。
イルカ漁の是非もあるが長大な歴史的遺産という観点からも考えるには、北国縄文の真脇人の生き方を知るのも一助だろう。
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トムリンソンはイルカ漁をどう判定するのだろうか。
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