アメリカのほら吹き伝統とカソリック教的世界観を体現した稀代のSF作家ラファティのものまねをした文書を発掘した。40年前の文書でありますね。
紫雲がたなびくなかをグーゴルプレックスのさざ波が密やかなささやき声を轟かす。
情熱の絶対温度。8月のうるさい蠅。破壊されたご飯粒。
確率波を笑い、時間に歪められ、二重星を見て眩暈を起こす男がいる。
やめろー!虚数を奏でるな!
時すでにおそく、孔子のグラビトンが老子にinformationを伝える。腐れチーズが第七シンフォニーのうめきを漏らす。
沈黙が爆音の氷河をひきさき、「ワレンシュタイン、御身もか!」
と呼びかける。えんまコオロギが裾をまくって放電する。
たちまち満ちるソニックブーム。
赤い花びらが青い瓦と交錯し、ブレークはそこにはしごを観る。
豆腐屋の少女の可憐なニキビだけがマイクロセコンドの永遠を沈黙を醸し出す。
慰安に満ちたその沈黙すら、喧騒に縁どられる。
真実は残酷で血に飢え狂おしく、あらゆる生の源を絶つ。
今、俺を、俺の細胞を、そのDNAを断末魔に追いやる。
じわじわとネゲントロピーを減少させて、.......やがてΩと印される。
今読むと富永太郎の痕跡もあるようだ。
それにしても、ハーラン・エリソンがラファティの作品を奔馬性狂気の傑作と讃えたあの60年代は、アメリカの奔馬性文化の横溢した、懐かしき時代でした。