学生時代には勝手にシンドバッド的に古代ギリシアに憧憬を募らせたものでありました。孤独のグルメならぬ「孤立のヘレニスト」というわけですな。
と言っても古典ギリシア語を独習するわけでもなく、淡々と邦訳書をかき集めて、読みふけるだけでありました。
記憶が散逸するまえに、その書誌をAMZ的コレクトしておきますかな。
なかでも、ガスリー、ニーチェとドッズが印象深い。
それ以外には2020年代で読み終わったブルクハルトの『ギリシア文化史』は著者の天才と感性にはただひたすらに魅了された。ニーチェが心酔しただけのことはある。
個別のギリシャ文化紹介というものある。ツェラーの『ギリシャ哲学史綱要』、ギルバート・マレーの『ギリシア宗教発展の五段階』、サボーの『ギリシア数学の始原』、ウァルデン『数学の黎明』などがある。思考を刺激するギリシア人の歴史書だけでも相当な数があるが、ここではツキジデスの『戦史』だけにしておく。
また、田中美知太郎の『ロゴスとイデア』と今道友信の『アリストテレス』は学者の力量とヴィルトゥオーソを感じさせる貴重な書籍だった。
分野はことなるけれどもルーベンスタインの『中世の覚醒』だけでも近代における西洋覇権の要因が古代科学と思想の発展的な継承にあったことを痛感したものだ。
その肝心のギリシアの科学思想は中公バックスの『ギリシアの科学』だ。この書を大学生のときに食卓で読んで、深いインパクトを受けたのがいまの自分になった由縁というと大げさかもね。