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私見!太平洋戦争の戦争責任論

 今でも、極東軍事裁判の結果には物言いをつけるヒトは後を絶たない。しょせん、勝者の裁きだからどうしようもない。
 しかし、それでは議論にならないので、歴史的観点から自分の見解を記しておこう。
 太平洋戦争は帝国主義国家どうしの衝突であった。アジア圏で覇権を確立もしくは維持したいイギリス、オランダはアメリカの先導により日本の封じ込めを図った。中国大陸における日本の植民地拡大を阻止するのが、大きな目的であった。
 しかし、その手段であるABCD包囲網による資源の遮断、とくに石油禁輸は完全に戦争を引き起こす挑発だったとしていいだろう。
 首謀者たるアメリカは三国同盟の一つである日本に開戦させることで、ヨーロッパの第二次大戦に参戦する大戦略を立てていた。
 その大戦略とはこうだ。
 嫌戦気分のアメリカ国民とそのモンロー主義を打ち破り、アジアでの日本の野望を打ち砕きつつ、ナチスドイツを撃滅する、それが戦略である。その戦略はルーズベルト大統領の意思そのものだった。ハル・ノートの嫌がらせもその一環である。
他方、日本政府は中国大陸の関東軍および陸軍に対する統制権は、完全に喪失していた。勝手に策動する陸軍があったのでは、戦略もクソもありはしない。これは、ナチ幹部が統制なきままに権力をかき回すドイツとどっこいどっこいである。

 要するに、日本は罠にはまったのである。先に拳を振り下ろした方が負けだったのだ。そもそも、日本には戦略がないのだから。
 東南アジアへの侵攻は東南アジア諸国への「侵略」とは言えないであろう。宗主国への侵略ではあるが、植民地を奪取する戦いは帝国主義戦争の定番だった。

 よって、極東軍事裁判はその判決そのものに、それほど正義が含まれているわけではない。ノセられて負けた方が悪いだけである。
 個別の国家正義への「犯罪」への判決の正当性は、かなりグレーである。勝者のBC級裁判の判決で十分であったのではなかろうか?

 その証人として、マッカーサー将軍の戦後の発言を引用しておくとしよう。

潜在的に、日本の擁する労働力は量的にも質的にも、私がこれまでに接したいづれにも劣らぬ優秀なものです。歴史上のどの時点においてか、日本の労働者は、人聞は怠けてゐる時よりも、働き、生産してゐる時の方がより幸福なのだといふこと、つまり労働の尊厳と呼んでもよいやうなものを発見してゐたのです。
 日本は絹産業以外には、固有の産物はほとんど何も無いのです。彼らは綿が無い、羊毛が無い、石油の産出が無い、錫が無い、ゴムが無い。その他実に多くの原料が欠如してゐる。そしてそれら一切のものがアジアの海域には存在してゐたのです。
 もしこれらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万の失業者が発生するであらうことを彼らは恐れてゐました。したがって彼らが戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです

  米国上院軍事外交合同委員会に於ける
       マッカーサー証言 より