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雑草のような雑念と雑考

猪苗代町のオンバサマ

 福島県猪苗代町の「関脇」という場所にオンバサマという信仰の地がある。関脇優婆夷堂が正式な名だ。安産祈願を地元の人びとがする。
 柳田国男が追求した「関の姥神」の例がここにもある。有名な例ということで千葉県君津の関村の姥神を柳田翁は引用する。
ネットを利用すると八丈島の「優婆夷宝明神社」というのがある。優波夷命神社に祀られる八十八重姫(優婆夷大神)で、三嶋神社の三島大明神事代主神)の妃神だとする。
在家の信者は、男性は優婆塞(うばそく、upāsaka)、女性は優婆夷(うばい、upāsikā)と呼ばれるのだが、優婆夷(うばい)がオバガミと折衷したのであろう。

 村の境界を守る神として姥神があり、関=咳の神さまとして近世の信仰を集めたというのが、柳田翁の見立てだ。サエノカミともいう。
 子安と称して安産を祈る境界の神さまもある。子安観音堂は習合されたサエノカミなのだろう。各地で各様のあり方を残す信仰からたんねんに共通な部分を抜き出すのが、柳田翁の方法論であった。

福島県謎解き散歩 (新人物文庫)

福島県謎解き散歩 (新人物文庫)

 柳田翁と折口信夫との対談で、自分の方法を要約している。事実を津々浦々から聞き集めてそこに隠されたメッセージを紐解く。

【追記】 茨城県のアンバサマを見つけた。稲敷市の大杉神社の巨大な杉は別名「あんばさま」と呼ばれているとか。お隣の安養寺の首かしげ地蔵は心に残る。
http://blogs.yahoo.co.jp/toku29511/32976394.html