ランダムなメモランダム

雑草のような雑念と雑考

対抗文化→New Age→排他的反文明へ

 1960年代にアメリカに発したカウンターカルチャー。その流れは1980年頃のNewAgeに引き継がれ、そして90年からZ年代はスピリチュアリズムと総称されるようになった。いずれもアメリカに端を発し、ヨーロッパや東アジアに伝播した宗教的ムーブメントであると比較宗教学者は論じている。

 ところで、そのアメリカにおけるムーブメントはその矛先が近代文明や科学に向けられているのが現状でないだろうか?

 反ワクチン運動は三種混合ワクチンのような予防接種からコロナワクチンへの反感と拒絶に拡大した。日本においてもその敵意は一般市民に定着している。高等教育を受けた人たちですらその非合理的な意味付けを免れない。そうした人たちが卑近にいるのだ。

 こうした科学技術や医療への不信感は宗教ムーブメントのクローズ化、つまり、閉鎖的なコミュニティへの変容と軌を一にする。NewAgeの頃と異なりテクノロジーへの不信感や政治体制への反感、それに公共性の喪失といったものが、顕著になっている。

 これはどうしたことだろうか?

 先進国においてすら、異なる価値観の人びとが対話できなくなっているのだ。とりわけアメリカではそれが目立つ。アメリカの分断という一ことで片付けることもできるのが、公共性の喪失。

 カート・アンダーセンがレポートしているように、閉鎖的な宗教観念が棺桶からよみがえりつつある。かつてマックス・ウェーバーが宗教性の瓦解を近代社会学の柱にしたが、それと逆位相にシフトしていてきている。世界の最魔術化だ。

 相互作用と対話の機会と場が、かの国では決定的に瓦解しているとしか思えない。

 

 

 

【参考文献】

カートの本を読むと対抗文化→New Age→排他的反文明へと流れ込んでいるのがまざまざと目に浮かぶ。