ランダムなメモランダム

雑草のような雑念と雑考

アカデミックな文庫シリーズ

 かつては学問の専門書、例えば思想書、歴史、東西の古典文芸、自然科学書などを学生や市民向けの文庫で提供していたのは、岩波文庫くらいな時期がしばらく続いた。

 1980年頃講談社学術文庫なるものが参入し、21世紀の境目前後にちくま学芸文庫が生まれた。このちくま学芸文庫は自然科学系において、リアルタイム的な専門書を提供したのは驚きだった。ランダウの教科書シリーズやフォンノイマンの原著などだ。

やがて角川ソフィア文庫が追随した。

 ここらで、専門書文庫系にも旨味があるらしいことは、想像できるような地点に到達できた。落日の出版界にあって、この手の文庫本は単価を高く設定できる。固定客層がいるので、売り上げが確保できる。売り場の場所をとらないので、書店も受け入れやすいなどの理由があるのだろう。

 草思社文庫、法蔵館文庫などもこの系列に含まれると考えていいであろう。

洛陽の紙価を高めるとまではいかぬにせよ、重要な精神的資産を紡いでいく努力として注目していきたい。