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雑草のような雑念と雑考

UFO仮説とシンギュラリティ論の重ね合わせ

 ペンタゴン発表のUFOレポートがアメリカ合衆国では話題になっているらしい。

例えば、「米 UFOに関する報告書「140件余の目撃情報も正体結論出ず」

114件の軍関係者による目撃事例では1件が気球とされたが、残りは解明されずとある。

21件については、物体の推進装置が見当たらないにもかかわらず、高速で不規則に移動するなど、「異常な動き」を示した

 とあるので、錯視や逃げ水のような光学的な蜃気楼に近い現象かもしれない。だが、その一方で、UFOが航空機に異常接近した事例も11件あるという。こうなると単なる光学的な虚像ではないようだ。


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 仮に実在する浮遊物体であり、それが空中を自在に移動できる人工物であるならば、自律運動する機械知性をもつ可能性が高い。なぜなら、高速で不規則な動きには、地球上の高等な有機生物は耐えられないからだ。昆虫的な有機体仮説をたてる人もいる。 地上に棲息している節足動物の「昆虫脳」の研究報告から知れるように、機械知性とそれほど差がないだろうから、機械知性と一括りにさせてもらう。

 ここで、連想されるのは過去のSFシリーズ、バーサカものだ。先進異星文明の負の遺産というべき破壊意欲の権化となった殺戮機械が銀河を荒らしまわり、太陽系にも押し寄せるというものだ。

 自己増殖と進化を繰り返し、おそるべき性能と破壊力を備える破壊マシーンの集団だ。実はこれがカーツワイルのシンギュラリティと接点をもつ。

 人工知能が人類の能力を凌駕する時点を技術的特異点(シンギュラリティ)というが、その人工知能が何を意図する存在になっているかは多くの論議を呼んでいる。

 UFOがそうした他の系外惑星文明のシンギュラリティの産物であり、それが地球に到達しているという説は、あながち不可能であり、非科学的とはいえない。なぜなら、その運動性能は機械知性の制御に近いものであり、それはカーツワイルのような実績をもつ発明家かつ思想家が提唱しているからだ。

 その延長線での考察を行っているのがニック・ボストロムだ。オックスフォード大学の哲学者であり、『スーパーインテリジェンス』は機械知能と現代文明との起こりうるシナリオを検討した、もっとも包括的な書物だろう。

 まず、バーサカ仮説ともいうべき主張がある。

最初に超絶知能になりえるエージェントが、地球起源の生命体の未来を左右し、人間の最終目標とは異なる目標設定を行い、そして、資源の確保を無制限に続けるための道具的理由を持ちうることを示唆している

 無制限に自己増殖と拡張を行うような機械知性が宇宙のどこかに発生するれば、それは光速の数分の一で拡大する。

 ありうるシナリオは、スーパーインテリジェンスが宇宙コロニー化計画に着手し、フォン・ノイマン探査機を使って自己の宇宙の版図の拡大を展開するシナリオである。そして、やがては、インフラストラクチャの丸みを帯びた空間がスーパーインテリジェンスの出自の惑星から放射状に膨らみ、宇宙の四方八方に向かい光速の数分の一というスピードで広がっていく。

  ということで、機械知性の管理に失敗した文明が銀河系に一つでもあれば、悪い意味でのシンギュラリティであり、かつ最悪のシナリオとなる。

 そのスーパーインテリジェンスは宇宙のコロニー化に着手するだろう。ボストロムがフォン・ノイマン探査機と定義しているものは、技術的に成熟した文明が探査機を開発し、光速の50%のスピードで宇宙空間を移動し、「開発対象」を発見するための探索を行うのだ。

UFOはその手先である可能性が浮かび上がる。そう、UFOはフォン・ノイマン探査機である可能性は排除できないわけだ。

 そして、それが単なる探査機ではなく、自分と類似の機械知性を増殖させようと虎視眈々だとするのはどうであろうか?

 人類が生み出した情報通信ネットに侵入し、それを乗っ取るかもしれない。コンピュータウィルスと同じような原理で、異星のバーサカ機械知性は自分の意図を吹き込むことができるだろう。

 そうした 侵略は、すでにインターネット経由で起きているのかもしれない。起きていないとすれば、それはコンピュータなるテクノロジーが異星のバーサカ機械知性にとって、原始的か(そろばんのようなレベル)もしくは異質(耐タンパ性がある)からかだろう。

 やがては我らのコンピュータ技術を解析して乗っ取りを成功させるかもしれないのだが。

 つまり、人類はサイバー攻撃に対して、「異星文明」からの乗っ取りという事態を考えなくてはならなくなる。それは地球に飛来したUFOからもありうるかもしれないが、4Gや5Gによる移動体通信になりすまし、侵入する可能性がある。

 優れた技術力をもつ文明ならば容易く通信プロトコルや暗号化技法を解析し、模倣し、それらを書き換えてしまうだろう。今、人類が大急ぎで勧めているコネックティッドなシステムは異星文明によりコントロールされることになる。

 地球の異星からの遠隔支配といった事態もありえる。

 どうやら、現代文明は余計な心配事をまた増やしてしまったのかもしれない。

 

 

【参考情報】

 昆虫の飛行制御にしてもシンプルでありながら、優れた安定性をわずかなニューロンで実装しているらしい。

 UFOの運動特性は、なにやらトンボなどの飛び方に似ている。

上記の書によれば、複数のセンサーで効果的に飛翔安定性を現出していることが分かっている。

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なぜ、フォン・ノイマン探査機というネーミングなのかはこの本の存在が理由だ。