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雑草のような雑念と雑考

朝鮮半島の文化における2つの真珠

 最初に、苦言を呈しておこう。現在の朝鮮半島文化政策は愚の骨頂だ(北も南も同じ穴のムジナである)。これから概説する2つ文化遺産を放擲したも同然だからである。それらは偉大な精神的遺産であり、過去に日本人もその恩恵を受けている。

 

 1つ目。仏教文化の真珠。

 新羅仏教は華厳宗の偉大な源流であった。古代にあって奈良の東大寺もその影響下にあった。奈良の大仏とは華厳の毘盧遮那仏そのものだ。そして、華厳宗を伝えた審祥は日本から新羅への留学僧であったのを忘れてはならない。

 新羅は偉大な宗教家を幾人も輩出している。元暁もその一人。中国宋の『宋高僧伝』に記載がある(留学僧で行っているはずの日本僧は一人もなし)

 小倉紀蔵も「真に国際的なレベルの哲学者」としている。入唐留学僧というエリートでありながら、奇行が絶えず晩年には破戒僧となり民衆に「南無阿弥陀仏」と仏教を説いて回る。

 八十八部の著作をあらわし、うち二十二部が残る。

 もうひとりの傑僧は義湘だ。唐の華厳宗第二祖の法蔵とは兄弟電子の関係にあり、帰国後も交友関係を維持し、互いに切磋琢磨した。まことに大なるかな!

『華厳一乗法界図』の図印を示す。210文字のこれを唱れば悟りへの道が拓けると言われている。

 

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華厳の図印

 儒教の巨人についても紹介しておこう。

 朱子学者の李退渓である。江戸時代の儒学者の哲学的ヒーローであった。彼の影響は近代朝鮮にまでおよび、反日運動の精神的支柱ともなっている。日本の儒学のレベルはこの人物一人以下だったかもしれない。中国の太極図に対して三太極図を建てただけでも偉とすべきだ。

 

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三太極

  日本文化は儒仏という二大宗教思想は朝鮮半島からの恩恵をこうむっている。惜しむらくは、漢字教育を放擲すると同時に二つの真珠も伝世されないも同然となってしまった。隣国には愚かな文化政策を放擲せよと助言したい。過去の精神的遺産をおざなりダンジョンに閉じ込めて、なんの徳があろのであろうか?

 不可思議なことだ。

 日本の政界にはついこの間まで陽明学者がご意見番だったし、うらで政治家を支える僧呂が暗躍しているのにだ。

 

 【参考文献】

 日韓の民衆はいたずらに反目してばかりいても前に進まない。日本人としては相手の強みと弱みを知ることが肝要だろう。

朝鮮思想全史 (ちくま新書)

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  日本人は朝鮮仏教を知らずして日本仏教を語っていいのだろうか?

その衰滅の歴史を知らずして、仏教徒は安閑としていていいのだろうか?

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