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雑草のような雑念と雑考

江戸期の家畜減少の件

 歴史人口学での指摘であるが江戸時代を通じて、馬や牛なのど家畜数が減少する。

 速水融によればこうだ。

 人の数と家畜(ここはほとんど馬)の数の比率が大きく変化したことである。つまり、人口は増えるが馬の数は減っている。十七世紀には平均して人口二十人あたり一頭、それが十九世紀には人口百人あたり一頭になった。二十人あたり一頭というと、四世帯に一頭くらいである。百人あたり一頭なら、二十世帯に一頭になる。

 これは家畜に頼る農耕から人力による農耕にシフトしていったことを示す。なぜ、こうした現象が起きたのか?
勤勉革命」だと速水は主張する。

それによって農業に携わる人々の労働時間や労働の強度が大きくなっていくことである。いままで一日六時間ですんでいたものが、八時間、十時間働かなければならないとか、いままで家族全員は働かなくてよかったのが、こんどは全員が働かなければならないというようになってくる。
そうなった場合に、農民のそういう状況に対する対応はどうであったのかというと、これは日本独特だが、日本人はそこに労働は美徳であるという道徳を持ち込んでしまった。

 労働集中による余剰分は農民の生活向上に回ったというのだ。武士階級や庄屋などの搾取はあったにせよ、勤勉さは間違いなく農民を豊かにした。
 だが、それで家畜の減少の説明になっているだろうか?
どうもそれだけではないというのが自分の考えだ。