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雑草のような雑念と雑考

現代文明の食糧ピラミッド

 20世紀の偉大な物語としての「緑の革命
 そのありましをまとめてみよう。
ハーバー=ボッシュ法による大気中からの窒素有機物の生成が爆発的なほどの食糧増産を実現した。もちろん、農薬や農耕機械、灌漑設備などのエネルギー投入はレバレッジとなり、少人数による大量な食料生産システムを多くの国々にもたらした。単一品種を同じ場所で大量に栽培する方式での大幅なコストダウンが可能となる。
 穀類の増産はそのまま家畜の飼料につながる余剰となり、食肉は先進国の食生活を支配するようになる。
コーヒー、砂糖、カカオなどに関しても少数品種を同じ場所で大量に栽培する方式となる。かつて鶴見良行が「バナナと日本人」でこうした偏りを批判したことがある。

 製造業や流通業はそうした食料生産の基盤があるが故に成立する。つまり、食糧が潤沢にあるがゆえに、余剰としての電化生活、情報化、有り余る商品に労働の目的と結果をシフトすることができるわけだ。サービス業や金融業、情報系やメディア産業とて例外ではないだろう。

 ポスト工業社会論というのが20世紀末にあったが、その空虚は21世紀前半に予想される食糧供給の低迷により揺るがされるであろう。
それが産業構造における食糧のピラミッドだ。