河上肇の『貧乏物語』は吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』と同じように人生の普遍性を扱っている古典ですね。貧乏の近代的な定義に始まり、大正時代における貧乏人の増大とその窮状、その原因とその帰結をわかりやすく述べている。日本が欧米列強に国力を接近させると、国内の貧困層の増加も同じような悲惨さを呈するようになった。この時点では河上肇は英国宰相ロイド・ジョージの礼賛をして、帝国主義のトップダウン型の改善を信じています。
然れども、時代は深刻な状況に進むとともに、彼はこの本の続編を書いています。
それが『第2貧乏物語』
マルクス主義の影響があらわな内容です。
貧困を減らすには金持ちが奢侈を減らすことという主張は江戸時代以来の支配層の質実剛健さを推奨したともいえるです。第一次世界大戦以降での「戦争成金」の出現にめをとめたのでしょうか?
現代的な見方では格差が膨れ上がった時代風潮を河上は嘆いたとも言えます。
ところで、最近『第3貧乏物語』を見出しました。著者は別人ですがマルキストです。
いまや日本のジニ係数も無視できないほど大きくなっている。そろそろ第4貧乏物語が必要な時代なのかもしれないです。
自分の保有する『第二貧乏物語』
文庫の表紙が貧乏感を漂わせているのが、いい!?