ヤスパースは精神医学に足場をもつ20世紀ドイツの哲学者である。日本でも戦後、流行ったことがあるがハイデガーほどの永続的な影響を保持したわけではない。しかしながら、彼の超越者概念は理系的にも頷けるところもあり、何よりも明晰な言語で限界を越えようと努力するそのさまは尊敬できる。
そのヤスパース哲学をつうじて、超越実在とのコミュニケーションの可能性を探るとしよう。
ヤスパースは近代における真理への哲学的、科学的探求は失敗したと考える。将来的にもその把握は困難とみなしている。
超越実在は人類の知性に理解不可能な暗号を用いていると哲学者は考える。
その了解にいたるには「暗号解読」が不可欠なのだ。暗号は仮に数学的な原理に基づいているとしよう。
理解不可能な理由は何か?
それを解くことは可能なのか?
そもそも、なんの為に暗号を発信しようとしているのか?
これは宇宙における文明の存在に似ていることを注意しよう。無数の宇宙線が飛び交うのだが、SETIにおけるあらゆる努力にもかかわらず、他の文明の発信した信号はまだ観測されていいない(厳密には一回あったらしいのだが)
自分の想定では解読できない人類文明側に原因がある。
- 作者: ヤスパース,Karl Jaspers,小倉志祥,林田新二,渡辺二郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/05/01
- メディア: 単行本
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