ディファレンシャル・エンジン、つまり、バベッジの蒸気力による計算機が実現したら、あるいは電気のかわりに蒸気力による情報社会があったとしたら、とういうのがスティームパンクの発想なのだ。
しかし、カルノーがワットの蒸気機関を考察してカルノーサイクルを考えたように、ディファレンシャル・エンジンの熱力学をカルノーが考察してくれたら、刺激的な学問が生まれていたかもしれない。それが表題の「情報熱力学」だ。
カルノーに倣って温度差が計算効率を規定するという結果を導いたどうかは分からない。でも計算機の本質的な物理現象の一つとして「熱」問題が必ずあるとも思うのだ。
データセンター運用の熱問題はただ電力消費をするから冷却するのだというわけではあるまい。
きっと第二のカルノーが現れて情報社会の熱力学的制約を解き明かしてくれる時がくるだろう。
もっとも上記の問いかけに近いのは量子情報科学だろうか?
宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?
- 作者: セス・ロイド,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/11/10
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