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雑草のような雑念と雑考

減速!中国経済

 銅価格の急落や相次ぐ大手企業のデフォルトが中国経済の減速の兆しだという各国経済評論家の意見に収束しつつある。
 製造業の過剰投資やシャドウバンキングだけでなく、驚異的な広範囲でかつ高濃度の大気汚染により大都市周辺の企業活動を停滞させている。
 発電所や工場が停止し、交通網もダメージを受けているのだ。それだけでなく、日照不足が足元の農業生産にさえ暗い影を落としている。
 産経新聞系がそうした報道をするだけならまだしも、日本総研の4月レポートにも軒並み劣化する経済指標が提示さている。

http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/china/pdf/7319.pdf

中国経済のリスクが大きいのは、その規模だけではない。経済統計が不正確なのだ。これは視界が悪い時に計器飛行をしようとしても計器が当てにならないことと同じだ。その根底には役人=共産党員の不正がある。自己の業績を水増しする体質がある。そして、共産党員を批判しようとしてもそれは弾き返される。
 毛沢東型の国家統制は権力志向であったから管理が行き届いたかもしれないが、訒小平型の国家資本主義は金権志向を増長させてしまった。チェックアンドバランス機構を欠いた巨大国家が急造成で出現してしまったのだ。これをソ連に続く第二の失敗といわずしてなんとする。

 これを他人事といってはいられまい。
 中国に批判的な向きの人々も安閑とはできまい。なにしろ、この巨象が苦悶でのたうちだすと大いに迷惑を被るのは必定である。
領海の拡大に向けて軍事カードを切り、経済不満を隣国に向けて叩きつけるかもしれないし、共産党が求心力を失って政治がいきなり迷走し、政体が不安定化するという最悪の事態さえ考えられる。
 巨大化するチャイナ・リスクチャイナ・シンドロームにならぬことを念じよう。