竜の子プロダクションの中期の傑作『新造人間キャシャーン』についての新仮説を公表する。
吉田竜夫のキャラへの入魂の技は比類なきものである。1970年台のこの時代にあれだけの造形力を子供向けアニメに注ぎ込んだのは並大抵のことではない。
それがゆえに、「キャシャーン」の性格には一抹の影がさしている。キャシャーンは孤独な戦士であり、そのアイデンティティは人間でもロボットでもないためにいつも揺らいでいる。
キャシャーンはロボット犬だけを友としてアンドロ軍団と戦う孤独な戦士である。人でもなければロボットでもない。
その揺らぎをキャシャーンの語源から説明せんとするのが、ここでの試論である。
カシアーンはロシアの民衆が畏敬する妖怪聖人である。この悪漢にして聖人がキャシャーンの本源なのだというのが、新仮説である。
妖怪聖人 、、なんとも魅力的な名ではないか。
ロシアの民はこう信じていた。妖怪聖人カシアーンが国土をうろつき回りながら、悪人を征伐する。だが時には人も襲う、恐怖の地獄の門番でもあるのだ。
ロシア民俗夜話―忘れられた古き神々を求めて (丸善ライブラリー)
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