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雑草のような雑念と雑考

飛鳥の亀石

 飛鳥時代、女帝の斉明天皇は土木好きだった。
内陸の盆地の飛鳥京まで、水路で物資を運搬し、スモールな水の都を現成させたらしい。
 その痕跡がそのまま残る。1999年に出土した謎の巨石だ。亀石、猿石、酒船石という名称がそのままに奇妙なフォルムを語る。また、須弥山石という石造物がある。

 これらは水にまつわる祭祀遺構と学者たちは判断している。
須弥山石については、亀石と関係づけらるのではないか。
 「列子」に亀が登場する。

 渤海の東方幾億万里に五つの山あり、岱輿、員崎、方壺、温洲、蓬莱。五山は海に浮いているため静止することがない。天帝は十五頭の巨亀に命じてそれを支えしめた

 須弥山石は蓬莱山のことなのだろう。それを亀石のうえに置いた。
亀型石槽もそうした東方世界のイメージに使われたのだろう。
 石人像は国内に相応物がないので謎だ。道祖神との関係をいう人もいるが、口から水を噴き出すのはなにゆえであろうか?
 境界の神というわけでもなさそうだ。その由来を探るのは専門家ですらできていない。かつて、神話学の大林太良は苦し紛れにアンドロギュヌス神話を持ちだして、山形地方の真室川の民話を引用したくらいだ。

飛鳥-歴史と風土を歩く (岩波新書)

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