二人の夭折した天才、二人の富永。彼らに血縁があればという空想は愉しいものだ。
富永太郎の父は愛知県の士族というし、富永仲基は大阪の町人、父親は大商人であった。
繋がりはここで途絶えてしまう。
方や商人、方や武士ではつながりようもないか。
富永太郎の詩句は鋭角的な憂いを帯びる。
私は透明な秋の薄暮の中に墜ちる。
戦慄は去つた。道路のあらゆる直線が甦る。
あれらのこんもりとした貪婪な樹々さへも闇を招いてはゐない。
彼はこの詩「秋の悲嘆」を書いて1年後に世を去る。享年24歳
他方、富永仲基は三十にして世を去った。ほぼ同時代の本居宣長を嘆賞させた『出定後語』と僅かな論考を残してのことだ。おそるべき理知の切れ味と客観性の精神が江戸の大阪に一瞬の光芒を放った。後継者とてなく、墓石すらも富永一族に排除された。
しかし、その学説は明治期になり再発見され、多くの思想家たちを驚嘆させた。
二人の精神性の余波は現代まで澪をひいている。
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二人の富永のBGM