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雑草のような雑念と雑考

お気に入りスターリン・ジョーク

 様々なタイプのジョークの分野があるが、自分は「スターリン・ジョーク」がことのほか気に入っている。

 スターリン統治下のユダヤ人たちのジョーク集といえばいいか。

 ところで、ナチの統治下のユダヤジョークは残されていない。なぜなら、全員ガス室に送り込まれたからだ... というのはジョークにもならない事実だろう。

 

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 ロシアは広くて、汽車は遅い。旅はみんな長旅だ。乗客の一人が靴を脱いだ。

不快な臭いが、むっと立ちこめる。隣りに坐っていた男が言った。
「あんたね、靴下を取りかえないか」
「いいよ、だけど、砂糖とだけだよ」


チェカの初代長官フェリックス・ジェルジンスキーは子供が大好きだったという。だれかがジェルジンスキー夫人に、このことについて質問したところ、夫人はこう答えた。
「ええ、たしかに。思い出しますわ。フェリッタスはね、むかしは道で子供に会っても、射殺したりなんかしなかったものですわ」


レーニン廟を見上げて、しきりに感心していた老婆が、衛兵にたずねた。
「こん中に、なにがあるのかね?」
レーニンを祀ってあるんだ」
レーニンってだれだね?」
「新しい聖者さまだ」
聖者と聞いて、老婆はひざまずいた。
「聖レーニンさま、どうかボルシェヴィキを退治して、また教会へ行けるようにして下さいませ。アーメン」

 

「ラビ、スターリンが言っているように、社会主義を一国で建設できるでしょうか」
「できる。だが、そのかわり、別の国で生活しなくてはならんだろうな」

 

 追い詰めらて逃げ場を失った庶民たちの最後の抗議とでもいえばいいか。圧政と不合理と悲惨さからの解放がユーモアの精神であったというべきか。

 

モスクワの自由市場はなんのためにあるのか?
農民が労働者からバンを買うためである。


集会のあと、イフノフが党幹部にきいた。
「同志、あんたはさっき、資本主義は悪いって言ったね」
「ああ、そうだよ」
「それから、資本主義はでたらめな体制で、非生産的だって言ったね」
「そのとおり」
「じゃ、なんで、そんなものに追いつかなきゃ、ならないんだい」

 

 次のジョークは「イワンの馬鹿」の血筋を引いている。


人民の財産を労働者たちがくすねるのを防ぐために、工場の間で守衛が見張っている。手押し車に袋をのせて通り過ぎようとするイアンに眼をつけた。
「袋の中はなんだ、イフン?」と守衛。
「おがくずさ。こいつをうちで、たきつけにするのを監督さんが許可してくれたんだ」
守衛はイワンの言葉をひとことも信用しない。
「あけるんだ!」
袋がぶちまけられる。本当におがくずしか入っていない。
次の日も同じ場面がくり返される。
「今度はだまされないぞ」と守衛。「あけろ!」
イアンは袋をからっばにする「おがくず以外になにもない.守衛は通さざるをえない。三日日、四
日日、五日日と、同じことがくり返される。
七日日、守衛は根負けしてしまった。
「なあ、イフン。おまえが、なにかくすねてるってことは、、わかってるんだ。だけど、もう、おれは検査しないよ。おまえは、これから好きなものを盗めるてわけだ。だれにも言わん。たのむから、ひとことだけ言ってくれ。なにをくすねてるんだ?」 
「手押し車」


アグムとイヴは最初のソヴェト的人間である。
どうして?
アグムとイヴは裸で暮らし、ほとんど食べず、家もない。そして、自分たちは楽園にいると思っている。

 

モスタフ在住のポーランド人とチェョ人とユダヤ人が、トロツキストとして死刑判決を受けた。最後に言い残すことはないか、ときかれて、ポーランド人が言った。
「銃穀のあと、私の死体を焼いて、灰をピウスツキーの墓にまいてくれ」
チェコ人が言う。
「私の死体を焼いて、灰をマサリタの墓にかけてくれ」
ユダャ人。
「私を焼いたら、すぐに灰をスターリンの墓にまいてくれ」
「なんだと! 同志スターリンはまだ亡くなってはいないぞ」
「待ってもいいよ」


監獄で三人の囚人が話していた。
「おれはサポタージュのかどで逮捕されたんだ」と一人が言う。「工場に五分遅刻したもんで」
 「そうか」と二人目。「おれは反対に五分早く出動したために逮捕されちまった。スパイ容疑だ」
「そんなのは大したことじゃないよ」と三人目。「おれなんか、時間きっかりに職場に着いたんで逮捕されたんだぞ。おれの仕事熱心は、共産主義に対する敵対行為の隠れみのだってね」

 

 

 

【出典】

 名著!復刻を求む!

並み居るユダヤジョークのなかで傑出した存在であろうと個人的に感じているので。