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雑草のような雑念と雑考

大和男児のしぐさ 頭を掻く

 気まずい状況になったときに、ヒトは頭を掻くという仕草がある。これは男性に多いようだ。女性でもなくはないが、やや不自然かもしれない。

 女性にとって髪の毛をなでる、さわるという行為は自然だろう。だが、頭を掻くのではない。

 青空文庫で調べてみた。

大町桂月 梅の吉野村      裸男閉口して頭を掻く。
芥川龍之介 手巾    かう思つて、先生は、ちよいと頭を掻いた。
牧野信一 老猾抄 吾ながら思はず恐縮して頭を掻いた。
小酒井不木  -   手術      S氏は頭を掻いて、「どうも、とんだことを言い出しましたねえ」
佐々木邦 秀才養子鑑      小室君は困り果てゝ、頭を掻くばかりだった。
森鴎外 独身         戸川も笑って頭を掻いた。
狂歌師赤猪口兵衛 - 博多名物非人探偵      赤猪口兵衛は首を縮めて頭を掻いた。 
夢野久作 呑仙士      思わず頭を掻いて赤面したと言う。 
宮本百合子 麦畑
そして、手拭で頭の汗を掻くと、其を顎の辺に止めたまま、いきなり「今日は、はあお仙さと伺いを立てにいぎやしてなあと話し始めた。

葉山嘉樹 乳色の靄    頭を掻くような恰好をした。
三好十郎 鈴が通る     ガシガシと頭を掻く
中谷宇吉郎 先生を囲る話     Y君ものこのこやってきて頭を掻くばかりであった。
吾輩ハ猫デアル     美學者は笑ひながら「實は君、あれは出鱈目だよ」と頭を掻く。

 

とこれだけあった。

 

 これは西洋人には、ついぞ見られない仕草である。ついぞ彼らが頭を掻くのを見たことがない。頭を掻きむしるというのはある。それは苦悩や深刻な状況になったときに、起きる人類共通な仕草だろう。

 では、大和男児の特有の弱点となるのであろうか?

 東洋系の人びとではどうであろうか?

どうやら、家人の話だと韓流ドラマでは韓国人男性は頭を掻くようである。ちょっと安心し、微笑んでみた。