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雑草のような雑念と雑考

縄文のヴィーナス

 国宝でもある「縄文のヴィーナス」は山梨と長野県にまたがる地域の主神であったと推定されている。
 造りの精巧さとキメの細かさも然ることながら、その相貌のモチーフがこの地域の土器になんども出現し、コピーもある。コピーとは、つまり、「縄文のビーナス」を模して、中部地方一円で類似の土偶が製造されていた。

 通常の土偶とは異なり損壊されずに、村落の中心部に埋められていた。その状況からすれば、最後の信者の生き残りが村を去る前にこの女神像をことさら丁重に大地に埋め戻した、信仰と共同体の没落のシーンが想像されるのだ。
 八ヶ岳山麓の縄文王国は何らかの理由により繁栄の根を断たれ、衰退の一途を辿って行き着いたのが繁栄の象徴であった女神の毀釈だったのであろう。